春との旅

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 評判がよかったから見に行ったが、ちょっと期待はずれ。
 原作・脚本・監督を小林政広とあるが、この主人公のイメージは仲代達也だろうか。忠男は一見偏屈で、立派そうに見えるが本当は自堕落なだらしない男である。兄弟みんながそういうし、妻にも娘にも孫娘にさえも面倒を見てもらわないと生きていけない男である。しかし一方でかわい気があり母性本能をくすぐる男だろう。
 それと仲代はイメージが合わない。彼の目元や口元に宿る知性や人間性は自堕落な人間を演じるには無理があるようだ。
 兄弟たち、兄夫婦の大滝秀治菅井きん、弟の内縁の妻の田中裕子、姉の淡島千景、弟夫婦の柄本明、美保純はいずれもいい味である。自殺した娘の別れた夫を香川照之が演じているが、これはどうもである。
 ほとんどいい映画に出来上がりそうだが、メインキャストが私の感覚と合わないから、もうだめであった。どんどん映画のつじつまが合わないということばかりが、印象に残っていった。