名護市議選挙、民主党代表選等

 ほとんど新聞が信用できないということは震災以来実感してきたことだが、今改めて、重要な課題に対応する報道、新聞の主張である社説を読んで、一部の人が言う「マスゴミ」ということに同調したくなっている。
 震災直後のことはあまりに現場の取材をしない、正確に物事を理解しようとしない、というレベルだったが、今回は、全国紙はほとんど現体制側にたった考えしかしないということだ。あるいは、それは恐るべき無知ということかもしれない。
 読売9月2日「基礎からわかる公務員の労働基本権」である。どこがおかしいとは、多すぎていちいちいわないが、「公務員のストは違憲」とは恐れ入った。戦後すぐに連発されたストは違憲だったのか。「公務員改革」でスト権を認めると憲法を変えないといけないのか。自分で何を書いているのか、この担当記者は分かっていないのではないか。後の項目も推して知るべしで、この新聞の反動性を考慮に入れても、もう少し憲法や労働法の精神を真摯に勉強するべきだろうと思う。
 民主党代表選挙は、この間の朝日新聞の最大関心事だった。最終版の14日に「再び民主議員へ」で、1年で3人も首相が変わる、小沢が金の問題がある、といった。15日の社説では「まっとうな結果」という。毎日新聞もおおむね同様の論調だ。
 この間の報道では「反小沢」の論調ばかりが目立つ。決して小沢氏の政策が日米安保に反対したり、憲法九条を守れというものではない。消費税にしても引き上げるタイミングを見ているのは明らかである。
 一方で「マスゴミ」は政治の金の問題を小沢氏に限って強調する。その本質的問題は「企業団体献金の禁止」であるが、そこへは決して踏み込まない。「節度を守った」政治と金の批判をしている。
 政策の問題では消費税引き上げの求めている。そこでは民意は無視をする。普通の感覚では、総選挙マニフェストの根幹を変えるのであれば、解散総選挙によって民意を問い直せというのがジャーナリズムの立場であろう。代表選挙によって「マニフェストを守る」といった小沢氏を破ったからといって、国民の信任を得たわけでもなんでもない。そこを巧妙に避ける「マスゴミ」には未来はない。
 タイトルにあげて、本来書こうと思っていた名護市議会選挙のことが抜けました。14日の社説で朝日は「またひとつ、重い民意が示された」と書き始めました。名護市会議員選挙で米軍基地受け入れ反対の市長支持派が議席を伸ばしたことです。しかしその民意を実現するようにはいわないところが、今の朝日の姿勢、立場を明確に示しています。菅政権は基地移設を「少しでも理解を広げる努力をしなければならない」という。民主党代表選挙であれほど民意を強調するのであれば、沖縄の基地に対して、何者も変えることのできない民意の実現を言うべきで、小沢だろうが菅だろうがあまり代わり映えのしない民主党代表に民意などといわないでほしい。
 朝日は安保の前には民意も吹き飛ぶものと思っているのだろう。