「千年の祈り」

 市民映画劇場11月例会でした。いい映画ですが参加者が少なくて残念です。やはり私が例会紹介を書いた例会は入りが悪いと言う、結果だけが残りました。
 それでも性懲りもなく映画の感想を書こうと思っています。できたら又ここにアップします。
 その焦点となるのは父、娘の複雑な思いを解き明かすと言うものです。父は建国の時代から共産党員でロケット工学の研究者を志しますが、ちょっとしたつまづきで、悔いのある人生を送っています。その間には文化大革命を経験し、天安門事件を経験しています。
 その躓きとは、同じ職場の女性と不倫のうわさを立てられたと言うことです。父はそれは事実ではない、といいますが、真実は分かりません。妻も娘もそんなうわさを立てられていることを知っているわけですから、彼がまったく抗弁しなかったことは不自然です。あるいはロケット工学の研究者から事務員に降格されたにもかかわらず、我慢して定年まで勤めあげ、しかもいまだに娘から「共産主義者」と言われるほど党に忠誠を尽くすのは、なにか、まだ隠していることがあると思えます。
 そして娘は、そんな父の中国を嫌ってアメリカに来ているにもかかわらず、アメリカナイズされたわけでもなく、中国人らしさを持った服装をしています。ただ現代人らしく食生活はファーストフードのようです。離婚する前にもおそらくたいした料理を作っていなかったのは、彼女が中華鍋を持っていなかったことから明らかです。父に対する嫌悪の一つに不倫がありますが、彼女もその道に入ります。しかも相手は「共産主義者」です。彼女が捨てたかったものは何なのか分かりません。
 そしてそこに絡むのは、この映画の原作者であり脚本家である、イーユン・リーです。彼女は現代中国を嫌ってアメリカに来て、なおかつ中国や中国人を主人公に小説を書いています。彼女がこのような父と娘を主人公としたのはなぜか、と言う疑問が残ります。
 そう言ったことを考えたものを書こうと思っています。今、そんなことを予告するのは、それが非常に難しいから、それを書く決心をするということです。うやむやにするのではなく、と言う覚悟です。
 12月の市民映画劇場は「女の子ものがたり」です。どんな映画なのかまったく見当がつきません。それだけ期待もしています。この紹介を読んで、ぜひ見に来てください。
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