「ミレニアム3」「ザ・ロード」

 2月8日、CINEMAkobeで見る。
 『ミレニアム ドラゴン・タトゥの女』『ミレニアム2 火と戯れる女』『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』は三部作で三つまとめて書いてみます。
 この映画はミステリー小説「ミレニアム」3部作を原作としています。これはスウェーデンの女流作家の処女作にして遺作となった大ベストセラーです。2005年に発行され30カ国以上で翻訳されて800万部売れているといいます。スウェーデンではテレビドラマにもなっているし、ハリウッドもリメークを考えているようです。
 物語りも面白いし、ヒロインのキャラクターが斬新です。私も最初の1部を見て、2部3部を見ようと思いました。ただ、この映画の舞台がスウェーデンであることが、犯罪の動機付けがアメリカや西欧諸国のこの種の映画と違います。
 資本主義の大国は裏には必ず多国籍企業の利益があります。そして大金持ちと権力が結びついていると言うものです。ある意味、非常にわかりやすいです。
 旧ソビエトは政府の高級官僚の国家を裏切る特権や、権力争いがありました。
 スウェーデン福祉国家であることから、多国籍大企業よりも政府の力が強いこと、「社会主義政権」ではないことから、政府高官が絶対的力を持っていない、という感じです。
 それで、そこそこの国家機関を私的に利用した一部の者たちの犯罪と言うことになりました。
 ちょっとわかりにくいですかね。1部と、2・3部と言う構成になっています。
 1部は、大金持ちの一族の過去の犯罪を解き明かすと言う、ミステリーの本流の映画です。その手法がインターネットやあらゆる電子媒体に潜入できると言う現代的能力を活用する、リスベットという女主人公が活躍します。
 そしてリスベットの得意な生い立ちがちらほらと示されます。
 2・3部はそれが解明されると言うものです。2部では少女売春という犯罪に政府高官が絡んでいるというスクープを「ミレニアム」が追及するうちに、リスベットをめぐる事件と交錯してくると言うものです。それが3部で解き明かされます。それはある種のカタルシスを感じさせます。手が届かない存在、権力のベールが厚い感じがしますが、それが一気に剥ぎ取られると言うものです。
 「ミレニアム」というのは、映画の主人公の一人が働く雑誌の名前でもあります。
 私の評価は、1部は非常に面白い、2部もどんな裏があるのかという感じですが、第3部でいわゆる正義が勝つというパターンに入っていきます。それは物足りないと思います。
 『ザ・ロード』はあまり面白くない。異常気象による地球と人類の絶滅する世界を描いています。人を食う、と言う異常を見せますが、どうも納得いきません。