5月例会学習会「中央アジア、遊牧の民の変容〜モンゴルから考える」

 5月例会「明りを灯す人」の例会学習会を4月27日に行いました。講師は今岡良子さん(大阪大学準教授)でモンゴルが専門です。


 映画はキルギスが舞台で、先生自身は「専門外でちょっと不安」だったそうですが、この映画と出会った本当によかった、といってもらえました。
 ご主人がモンゴル人で、キルギスとモンゴルがまったく同じようなことがあり、一緒に映画を見ながら、色々なシーンで腹を抱えて笑いながら見たそうです。そして「これは非常にいい映画です」と評価してもらいました。
 モンゴルとキルギス、例えば一方がチベット仏教で他方がイスラムという具合に隣り合いながらも違うところもありますが、遊牧の民族であり、ソビエト社会主義の下で近代化してきたという共通点があります。
 モンゴルを専門に研究してきた先生の目から、この映画、キルギスという国を見て、その相違を話していただきました。
 両国とも伝統的に遊牧を生活としてきましたが、キルギスが旧ソビエトの一つであったことから、定住化が早かったということ。この映画でも村の生活が長そうです。モンゴルもウランバートルなど都市への移住も増えているが、一定層が遊牧生活を続けています。大部分が国有地で、そこでは誰でもが自由に放牧できるそうです。
 中国、内モンゴルはもっと定住化が進んでいるようです。
 馬がキルギスはアラブ系で大きい、モンゴルは小さいモンゴル馬という違いがあり、馬術はキリギスのほうが上みたいです。
 社会主義の時代は、共に天然資源や乳製品を出し、工業製品などを受け取っていたといいます。ペンキ塗り等、材料が届かないこともあって、途中で止まっているところなど、よく似ているといわれました。
 そしてモンゴルは清朝支配の封建制から社会主義に変わって(1921年)、社会を作る原動力が男女平等に置いて、徹底した教育が急激に進められたと言います。今でもジェンダーの意識で言えば日本は20年ぐらい遅れている感じだといいます。
 「民主化」されて市場経済になって、性産業が出ていているが、女性を買うのは20代30代の若い世代で、高齢層は拒否反応があることは、日本と逆です。
 この映画にも、ちょっと出てきますが、「民主化」はそういう変化ももたらしています。また親の居ない子供、食料不足による病気等、社会主義の時代になかったことも出てきているといいます。
 モンゴルの人が求めた「民主化」は官僚主義を排することで、市場化ではなっかたと、モンゴル人の夫は言うそうです。
 日本との歴史的関係では、モンゴル共和国と中国・内モンゴルが作られたのは、戦前の日本軍が満蒙を占領していたためで、ソ連の支援もそこまでとどかなったようです。関東軍70万人は、その当時60万人の人口だったモンゴルにとって、本当に大きな脅威だったようです。
5月例会「明りを灯す人」については神戸映画サークル協議会のHPをご覧ください。
伊藤千尋さんの講演も行います。
http://www.kobe-eisa.com/
 学習会の後の飲み会を行いましたが、あまりにも楽しすぎて写真を撮るのを忘れていました。場所は「てふてふ」さんです。飲みすぎてお金を払うのを忘れて帰ってしまいました。ごめんなさい。