「橋本維新と地方自治」―維新人気は何をもたらすか―

 4月20日[土]標記のタイトルで平松邦夫(前大阪市長)さんの講演がありました。耳新しい話が聞けたわけではありませんが、橋下と直接対決した感触から、橋下の愚かさと怖さがわかるような話でした。

橋下、維新の強さ
 講演の狙いは現大阪市長橋下徹氏の人気が高いのはなぜかということを、解明することだと思います。しかし話の冒頭で平松さんは正直に「それはわからない」といいました。
 確かにそうでしょう。宝塚市長選挙の応援に行ったときの話が、それを如実に物語っています。
 当然、現職の中川氏の応援でしたが、選挙参謀が街の反応が非常に良いことから「大丈夫でしょう」といったことに対して「不安になった」、そしてマスコミの知り合いに、投票率とか出口調査の状況を聞いたりしたそうです。「当確」が出て安心したといいます。
 なぜなら平松さん自身の選挙でも、非常に良い手ごたえを感じていたといいます。事実、1回目の当選した選挙の得票は30数万票で、負けた選挙の得票は55万票でした。
 また吹田市長選挙で、維新の新人に現職が大差で負けるのですが、その選挙でも負けた現職は非常に感触のいい選挙で、なぜ負けたのかわからない、といったそうです。
 私が感じたのは、橋下は選挙に行かない人を呼び寄せるから強い、ということです。07年の投票率は44%で、11年は61%でした。
 市議会選挙における維新の候補者の選挙活動は「はした氏の選挙演説の録音を流し、最後に○○さんをよろしく、でおわったあとに、○○です。よろしくお願いします」というものだったそうです。それで当選です。
きわめていい加減だが、マスコミ操作は天才的
 橋下や維新の選挙公約はきわめていい加減で、ほとんど何も考えていないということが、何度も出てきます。橋下の公約の目玉とも言うべき大阪都構想についても、そのメリットをほとんど説明しないといいます。
 さらに前言を翻すことや180度違うことを平気で言える体質を強調しました。橋下はそのことを、まったく恥じないのです。
 しかし同時にマスコミ人の体質として、彼ほど「おいしい」取材対象はいないとも言います。何もないときでも何か話題を提供する、だからテレビや新聞が群がるのはよくわかるそうです。
 そして、まったくの私見で想像だがと断って、橋下は大阪市長などやりたくないのではないかといいました。なぜなら政令市の市長は極めて多忙(市民の命と暮らしを守る仕事はちまちましたことだが、非常に大切)だが、そんなことはしたいと思っていない、といいました。
味噌をつけたけど
 主催団体代表の閉会の挨拶は、まったく場違いで平松さんを呼んだ意義や彼の話の中身をまったくわかっていないことが明らかになりました。
 でもそんな愚かな人はさておき、維新に対する危機感、憲法改悪に対する危機感から「大同団結」を求めるような企画には賛意を示したいと思います。
 会場からの兵庫県知事選挙と神戸市長選挙に対する見解を求める質問に対して、平松さんは神戸空港を「もっと活用するような政策」であるとか、港の復興をめざして大阪、神戸が協力する阪神港の活用を考えるべきだといいました。自治体の長としてきわめて当たり前の考え方です。
 会場の多くの人はどう受け止めたのでしょう。