2020年5月に見たDVDとテレビの映画そして映画

 普段は映画を家で見ることはありません。集中して見ることが出来ないからです。しかし映画館が閉館していましたから、やむなくDVDを家で見ました。
 DVDで見た映画は『必死剣鳥刺し』『恋人たち』『拝啓天皇陛下様』『無宿人別帳』『眠狂四郎殺法帖』『飢餓海峡』『張込み』『理由』『百円の恋』『道頓堀川』『味園ユニバース』『赤目四十八瀧心中未遂』邦画ばかり12本です。
 テレビで見た映画は『復活の日』の1本。
 24日から映画館に行き『レジェンド 狂気の美学』『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしの作り方』『スキャンダル』『ラスト・バレット』『ナイト・オブ・シャドー』5本を見ました。
 DVDはかなりの数を見ましたが、やはり見る側に緊張感がないので、映画の良さを受け止めることができません。でもテレビのサスペンスドラマ等と比べると、格段に作り方が丁寧だし、俳優もよく頑張っているのはわかります。
 映画館は3館行きましたが「感染予防」ということで一つずつ座席を開けて座る仕様になっていました。作品としてはドキュメンタリー『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしの作り方』がさわやかでよかったですね。
 簡単に感想などを書きます。
必死剣鳥刺し藤沢周平原作、監督は平山秀幸、主演に豊川悦治。斬り合う相手は吉川晃司で二人の殺陣は迫力があってよかった。最後に大勢を相手に大立ち回りを演じ、死んでなお腹黒い家老(岸部一徳)を刺し殺すのもよかった。
剣の達人であるが、平凡な日常生活を送り、それが突如として藩政に口をはさむ側室を殺害するのも、薄幸の姪の恋慕にこたえてやるのもいいです。
『恋人たち』橋口亮輔監督で、キネマ旬報などのベストテンでも評価が高かったが、私には「がっかり」で期待外れ。3組の恋人たちの関係が描かれるのですが、いずれも微妙な関係だが、世間を突き破ったところがないのが不満です。
 一組は主婦と出入りの業者との不倫、彼女の夫や義母、男の恋人などを交えます。一組はゲイの弁護士と同棲する恋人、弁護士はゲイをカミングアウトしての長年の友人、その家族との関係。もう一組は通り魔に妻を殺された男の話で、彼は特定の人々と深く付き合いません。
『拝啓天皇陛下様』『飢餓海峡』『張込み』『百円の恋』は西神ニュータウン9条のHP6月号「憲法と映画(42)」(http://www.ne.jp/asahi/seishin/9jyonokai/)に投稿しましたので、ここでは省略します。
『無宿人別帳』松本清張の同名の短編集の「逃亡」と「佐渡流人行」を原作に小国英雄が脚色、監督井上和男三國連太郎が主演です。

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無宿人別帳

 佐渡の金山に送り込まれた無宿者たちが、危険な作業に耐えかねて集団脱走する話。それを先導したのは新平(三國廉太郎)ですが、彼は最後には自分が助かりたいために、すべての無宿者を見殺しにしました。
 人の世の非情ですが、彼らをそこに追い込んだ支配者、権力者、富を持つ者がいたと描きます。松本清張の視点だと思いました。
眠狂四郎殺法帖』市川雷蔵眠狂四郎若山富三郎が敵役。もう少し面白い映画かと思いました。がっかりです。
『理由』宮部みゆき原作、大林宣彦監督。主演というような人はいないが100人を超える俳優が出てきて、それぞれが存在感を見せました。

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理由

 都心の競売にかかったマンションから男が転落死する。その男の部屋へ行くと、男一人と女二人が殺されていた。周りは家族だと思っていたが、捜査が始まると4人は赤の他人であった。なぜ彼らはそこに住んでいたのか、誰が住まわせたのか。殺された4人を含めて彼らとかかわりを持った人々の謎が動き始める。
 小説も映画も、この事件にかかわった人々の証言だけで、この事件に迫ります。彼らは事件にかかわる話をするのですが、証言者自身の人生が浮かび上がってきます。そういう人々の人生を断片的に見せることで現代を表現しました。
 人が4人も死ぬのですが、DVDを見た限りでは、その理由はもう一つはっきりとは、私にはわかりませんでした。
道頓堀川宮本輝原作、深作欣二監督で、主演は真田広之松坂慶子。主な脇は山崎努佐藤浩市加賀まりこ渡瀬恒彦です。

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道頓堀川

 三國廉太郎が佐藤浩市が出た映画で唯一評価しているので見ました。
 大学紛争がでてきますから1960年70年代です。その時代の道頓堀川周辺の大阪を描きます。主軸はうぶな大学生が、色っぽい年上の女性、芸者上がりで他人の妾にほれるという話です。
それに親子2代のハスラー山崎努佐藤浩市)の確執が絡みます。
 色っぽい映画です。カルーセル麻紀がおかまの役で出て、彼女を食い物にする不気味なヒモを柄本明が演じます。映像としては出てきませんが、彼らが絡み合う姿を想像してしまいました。
味園ユニバースは暴力と歌の映画でした。監督が山下敦弘です。二階堂ふみがいいですね。
 刑務所を出所した男が暴行を受けて記憶喪失になってカラオケ屋に拾われます。ポチ男をなずけられて働きますが、歌が上手なことからセミプロのバンド赤犬のボーカルになります。
 記憶が戻って、家族から縁を切られるような暴力的で手前勝手な大変な過去を持っていたことがわかりますが、最後は歌で生きていくという話です。
 無意味な暴力は辟易しますが、歌は惹かれました。
赤目四十八瀧心中未遂車谷長吉の原作です。寺島しのぶを見たいと思いました。
 尼崎が舞台で、その地域社会の底辺で生きる人々を描きますが、どうしてもわざとらしさが鼻につき、私は映画の世界に入ることが出来ず、面白いとは思いませんでした。映画館で観たら違うかもしれません。
復活の日はテレビ放映で見ました。小松左京原作、深作欣二監督、主演は草刈正雄

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 正体不明のウィルスで人類は全滅。わずかに南極にいた人間は助かるが、それに加えて、核ミサイルによって、さらに追い打ちをかけられて、南極基地も標的になり、そこから逃げていた船に乗った人間だけが助かる話。ここから人類は復活するということでしょう。
 ウィルスは米軍基地の生物研究所から漏出した生物兵器です。それによって南極にいた人々以外は死滅します。その後で米軍の核ミサイルシステムが地震を核攻撃と認識するとわかります。南極にいた人々の中から米軍関係者がそれを止めるためにペンタゴンに向かいますが、間に合いませんでした。
 核ミサイルは自動的にソ連等の東側諸国を攻撃し、ソ連の核ミサイルシステムも自動的に反撃して西側諸国を攻撃しますが、南極基地も標的に入っていました。
 二重三重に軍拡競争に明け暮れた人類の愚かさを強調しました。原作の時代は米ソが支配者でした。今は中国がそこに割って入っています。
ここから見た映画
『レジェンド 狂気の美学』は、1960年代のロンドンに実在した双子のギャング、クレイ兄弟を主役とする映画です。
 兄は経営的な才能も有り、カジノやクラブで儲けようとします。弟は病的な暴力体質で精神病院にも入れられるます。二人は暴力を武器にロンドンの夜を支配しました。合法を装いながら競争相手を潰し、脅し透かしの詐欺でなわばりを広げます。
 兄の恋人は「まじめに働いてほしい」と願いますが、弟の狂気がすべてを破壊しました。
 見てて楽しい映画ではありません。映画館が再開して最初に見ました。 
『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしの作り方』はドキュメンタリーです。米国ロサンゼルスの郊外で、理想の農場を運営する人々を描きました。

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 ジョンとモリーの夫婦が犬の鳴き声がうるさいとアパートを追い出されたのがきっかけに、彼らは200エーカー(東京ドーム約17個分)の荒れ果てた農場を手に入れます。
 伝統農法のコンサルタント、アラン・ヨークの指導を得て、生物多様性、植物と動物の連携、生命の循環の農場を作り上げました。そこでは家畜や栽培作物だけではなく野生動物も野草たちもすべて彼らの役割を果たす、そこまで作り上げました。

 この映画では8年でできました。しかしもっともっと発展しそうな感じです。
 いいところだけを撮っているのかもしれませんが、見ててとても気分のいい映画でした。
『スキャンダル』は再見でしたが、面白く見ました。詳しくは20年4月5日のこのブログに書いています。
『ラスト・バレット』ジャン・レノが主演で殺し屋を演じたので『レオン』をイメージして見に行きましたが期待外れでした。ストーリーを紹介する気にもなりません。
『ナイト・オブ・シャドー魔法拳』聊斎志異を書いた蒲松齢をジャッキー・チェンが演じて、妖怪との戦いをCG等特撮で描きました。それだけ。