2021年11月例会学習会「北欧デンマークの文化と暮らし」:立田瑞穂(龍谷大学講師) 

 11月例会『わたしの叔父さん』の例会学習会を表記のタイトルで、117日(日)婦人会館で開催しました。

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『わたしの叔父さん』

 講師は立田瑞穂さんです。はじめて来てもらいました。当初、お願いしていた南コニー先生の都合が悪くなってのピンチヒッターですが、とても楽しい話になりました。

 彼女の経歴は、大学を卒業後、15年ほど障がい者施設で働いて、その後に大学院に入学、デンマーク留学を経て、教員になって34年です。専門は障がい者福祉ですが、デンマークに留学していた経験から、デンマーク人の生活スタイルなどの話を聞きました。

ヒュッゲ

 日本でもヒュッゲというデンマーク語が流行っていると聞きます。しかし一言で翻訳するのが難しいし、デンマーク人に聞いてもはっきりした説明は出てこないといいます。心地よいひと時、空間、人間関係などを総合した心持であるようです。

 幸福度指数が高いと言われるデンマークですが、このヒュッゲを生き方の指標にしています。立田さんが映してくれた写真では、豪華ではないけれども、気の置けない仲間とお酒を飲み食事をする時間が楽しそうです。

この国の労働観では「ハッピーに働きなさい」です。留学時にアルバイトをしたそうですが、一生懸命でも効率よくでもありません、

統計的に見ればデンマーク人は仕事に満足しているけれども、転職に関心があるそうです。実際にも転職が多く、学校などで資格を取って、全く違う仕事に移る人もいるようで、そうしても給料などの待遇が悪くなることはないという仕組みです。

平均的な労働時間は週33時間で、しかもよく休み、長期休暇が12か月あります。日本とだいぶ違うようです。

でも管理職などでは長時間働く人もいるといいます。

自立・自律

 北欧諸国は高福祉高負担ですが、その背景には投票率85%と非常に高いことがあります。国民がそれを選択しているし、政治や社会にかかわることが大事だと、子どもの頃から教えられています。

 そして肉親以外との人間関係を豊かにするように早くから一人暮らしをします。

障がい者も自立して生活する姿勢を持っています。医療や介護が無料ですし年金だけで生活ができますが、そこから所得税を払うといいます。納税も社会参加です。

彼らも施設ではなく自分の家で暮らすことを大事にします。といっても親と暮らすのではなく一人暮らしです。生活支援のある1LDKの広さの集合住宅に住み、共有の居間のような部屋で、友人などと交流しています。

国と地域社会が生活の基盤を支えたうえで、どう暮らすか、生きるかという自己責任です。

立田さんが撮ってきた写真ではホームパーティなどで楽しんでいます。お酒が好きで、16歳から飲めます。その部屋が暗いのが特徴です。デンマーク人は蛍光灯が嫌いだと立田さんは言っていました。

自立したうえで、デンマーク社会の特徴である農業組合、労働組合、協同組合などが活発です。

日本国憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活」とはこのようなことだと思いました。お金の心配をせずにヒュッゲを楽しむ生活はうらやましい。

神戸映画サークル協議会(神戸映サ) (kobe-eisa.com)