『77冊から読む科学と不確実な社会/海部宣男』『川柳を始める人のために/時実新子』と『世界4月号』『前衛4月号』を書きます。
『77冊から読む科学と不確実な社会/海部宣男』
2011年以降に、主に毎日新聞の書評欄に掲載された自然科学系の本77冊です。どれも面白そうで、読んでみたいと思いました。とりわけ全く知らない分野は興味深いです。
海部さん自身が著名な天文学者で、しかも書評家としても評価されています。確かに本のテーマに沿った紹介はわかりやすい文章です。そして視点は科学と社会を見据えるものです。
最初に言いましたが、どれも読みたいと思いましたが、中でも興味をひかれた、必ず読もうと思った本を上げておきます。でもこれを追求していたら推理小説などを読む暇がなくなりそうです。
『アマゾン文明の研究』
アマゾン平原には古代文化がありました。これは初めて聞きました。まだ研究は進んでいませんが、面白そうです。(後日読みました)
『イチョウ奇跡の2億年史』
よく知っている、身近なイチョウの謎です。
『耳嚢』
江戸時代に書かれたエッセイ。世間話や妖怪噺の聞き書き。(読み始まましたが、途中で挫折。ボリュームが多すぎるのと、昔の書き方で読みにくい)
『ヒトの中の魚、魚の中のヒト』
人体進化、形成の秘密を明らかにする。
『土』
「土壌とは微生物などの生物活動がある土を言う」という紹介がありました。土質学とは違う土です。
『隠れていた宇宙』
宇宙の無限性と多世界宇宙を論じ切った本です。
『川柳を始める人のために/時実新子』
もともと川柳に関心がありましたが、2022年4月から教室に通いだして、定期的にその関連本を読んでします。時実新子、面白い人でした。
彼女の川柳に対する姿勢がよくわかる本で、その書きぶりも、知的でさっぱりとして直情的なところもあります。かなり刺激を受けました。
川柳には時事や人生、社会性があり、ユーモア、エスプリ、機知、穿ち、皮肉などが込められたものと思っていましたが、彼女のように人情と生活臭を率直に出すのも良いなと思いました。
特に自分史を川柳で綴っていくのも面白いと感じます。
『世界4月号』
特集は二つで『痛みからつながる―女性と法の現在』『学校 息苦しさからの脱却』です。それらはちょっと手に負えません。
小泉純一郎元首相のインタビュー「原発ゼロ、やらない岸田首相こそ『変人』だ」もありました。もう少し「秘密の暴露」があるのかと思いましたが、その内容は平凡でした。福島の事故までは日本の原発は「安全で安い」と思っていたが、それが全てうそだとわかった、と言っています。やはり変人です。
『壊れる世界 第6回―戦争が変える世界/藤原帰一』を書きます。
まだガザの虐殺が始まっていない時期の論文です。
ウクライナ戦争が欧州だけでなく大きく世界を変えていると書きます。第二次世界大戦後に多くの戦争があったが、これは「世界戦争としての地域紛争」の一つと位置づけました。そしてその波及効果を分析しています。
まず戦争が長期化しロシア軍の脆弱性が露呈しています。モスクワの影響力が弱まり、ユーラシア圏域の「不安定性」が増しました。
そして戦前からあった欧州のNATOとロシア、東アジアの米中競合という、別々の二つの対立が結びつく動きが出てきたことです。ロシアの弱体化を中国が支えざるを得ない選択肢が出てくる、と指摘しています。
『前衛4月号』
『欧州左翼との新たな交流・連帯を求める旅―平和、軍拡反対、ジェンダー平等、党活動まで幅広く/緒方靖夫・小島良一、米沢博史(座談会)』3月号4月号
22年11月7~16日にかけて欧州6か国の左翼・進歩政党7党(フランス、ベルギー、オランダ、スウェーデン、ドイツ、オーストリアと欧州左翼会派)を訪ね、その会談の模様を派遣された3人の座談会という形式で2カ月に分けて載せています。
会談の内容よりもまず、それぞれ欧州左翼の党の経緯、動向がコンパクトにまとめられているのが良かったです。
会談で読み取れる一番大きな課題はウクライナ戦争の対応です。いづれの党もロシアのウクライナ侵略は信じられない行為だということです。いわば「想定外」であるために、政策的な対応に苦慮している感じです。軍事同盟反対、NATO反対という政策をどうするかということです。
軍事派遣は反対ですが、現在のウクライナ支援の対応にも、それぞれ違いがあるように思いました。