「スプリング・フィーバー」

 29日に元町映画館で見ました。Kさんが来てて、3回見たといっていました。
http://www.uplink.co.jp/springfever/
 南京風俗みたいな感じです。いきなり若い男が裸で抱き合ってセックスしますから、どうなるんだろうと思いましたが、あとはわりあいと大人しく進行します。
 同性愛、ゲイ、バイといわゆる多数者の異性愛と違う人々ですが、もう彼らを特殊に見る社会ではないような映画でした。最初に出てくる二人のうち、既婚者の男が妻にばれて「恋人」からも距離を取られて死にますが、それがないほうがよかったように思います。絶望からの死ではない、彼らの人生観から、それぞれの生き方をさぐり出すような展開があればな、と思ったのです。
 ストーリーは、きわめて日常的で男女の愛憎みたいなことから、人生がそれぞれに歪んで行くありさまが、映画的です。その一つの道が自殺ですが、私はその可能性を映画で描くのには否定します。
 工場長の企業犯罪もそうですが、「社会主義」経済をとる中国社会の、資本主義諸国との違いがありません。ですが人々の日常の暮らし感覚、人生観までわからないので、突っ込んでいけません。
 それでも高度経済成長の時代というのは、日本もあんな感じだなと、そう思います。「信さん」の雰囲気を感じました。
 この監督は天安門事件を描いたために、中国での映画製作を禁じられているそうです。中国のアキレス腱は天安門事件です。ノーベル平和賞もそうですが、国際的に明らかになるのは時間の問題です。中国政府のそれの取り扱いによって大きな歴史的な変化があるかもしれません。