『ピリペンコさんの手づくり潜水艦』

 6月17日18日市民映画劇場6月例会でした。

 参加者はいまいちでした。テーマがかなり明確で「大作」といったものは、そこそこであっても、この映画のような「ふんわり」としたものは、一般からの参加は少ない。だから会員を増やして、映画サークルファンに依拠した運動をめざす必要がある。
 『ピリペンコ』はまさに夢、それも奇想天外の夢を持つこと、それを現実のものにするための汗、それが人生なのだという、ここに共感する人は一定の数はいるが、それほど多くない、ということか。
 でも映画サークルに来る人は、まだまだそういう人たちだ。


 これは実話であってドキュメンタリーだ。ウクライナの内陸部、穀倉地帯に住むピリペンコさんがなぜ潜水艦をつくろうと思ったのだろうか。映画の冒頭に出てくる「草原にある潜水艦」は奇跡を言う例えらしいが、それを二〇年かかって現実のものにした彼の生き方に興味を持った。
 映画はそこまでさかのぼって描かない。潜水艦を手作りしている男の噂を聞いて、映画を作ろうとやってきたドイツ人は、そのとき以降のピリペンコさんを撮っている。わずかに古いアルバムから、彼の若かりし頃、妻アーニャーさんとのデート等がうかがえるだけで、彼の労働者としての働きぶりはわからない。池で魚にえさをやるところだけだ。
 彼と一緒に黒海にもぐる、少し後輩になるセルゲイの誠実さが伝わってくる。そういう男に信頼されているピリペンコの魅力は、これはもしかしたら男にしかわからないのかもしれない。
 女はアーニャのように「つまらないことに年金を使う」と罵るのだろうか。現実生活の厳しさをすべて女に押し付けて、という被害者意識を持っているのだろうか。
 失敗にも懲りず、来年は「紅海に行って100mもぐる」と酒を飲む男たちは、やはり愚か者だろうか。
例会学習会
 例会に先立って13日に例会学習会「ロシアとウクライナの農村生活」と題して、いつもの増本先生とその夫ヴァレリー・グレチュコさんから、話を伺った。いやいつもの事ながら楽しい。
 ロシアもウクライナも広い。人がいない。そこで「楽しく」暮らしている。田舎はソ連時代とそれほど変わっていない様だ。