12月例会『クリスマスのその夜に』

 21、22日と標記の例会でした。参加者はもう一歩伸びませんでしたが、作品の評価は私と同じく「人間社会と家庭の暖かさを感じる」という感想が多くありました。それはとてもうれしいことです。
 例会紹介はそのことをストレイトに書きました。でも生々しいセックスシーンがあったことから、お叱りも受けました。



 でもこの映画の5つのエピソードは、決して絵に描いたような幸せや平和、暖かい愛情はありません。よく見れば不安定な関係です。
 唯一クヌートだけが「僕の子供を生んでくれ」という直接的な愛情表現によって夫婦の絆を太くしましたが、その他は、人生は色々あるという話です。
 例えばトマスの初恋(?)は、いい雰囲気だし人類の未来を感じさせます。しかし現在の地球では二人の間にある宗教の違いと人種の壁は厳しいものがあります。
 この映画は、コソボから逃れてきた二人は隣り合って住んでいた者が殺しあう戦場を体験し、二人が愛し合ったがために「家族に殺される」状況であるといっています。
 人類の現状はそうです。トマスとビントゥをそれを超えていけると見ることが出来る映画だからこそ、密やかな感動を呼び起こすと思います。
三番目の写真は、不倫をしている夫クリスティン、妻そして愛人カリンが並んで教会のミサに参拝しているシーンです。夫はカリンに妻と別れると約束していながら「二人を愛せることを知った」と、イブの夜に言い放ちます。
 妻とカリンは、クリスティンから送られた赤いスカーフを巻いています。
 男女の愛憎の図で、神の前では「汝姦通するなかれ」かもしれません。しかし、クリスティンとカリンの肉体をぶつけ合うようなセックスを見ていますから三角関係も含めて人間らしいと思ってしまうのです。男の身勝手かもしれません。
 故郷に向かう列車の中で息を引き取ったヨルダンさえも、この夜では幸せであったと思うようです。故郷で老いた両親の元へ帰れたことは、

 しかし、その中にこそ人間的な暖かさが息づいていることを多くのみなさんが見て取ったようです。