JR北海道

29日のサンデーモーニングの冒頭でJR北海道の安全対策の問題が取り上げられました。河野洋平国鉄の分割民営化まで遡ってこの問題の元凶を分析していました。私は的を射た指摘だと思います。
一方はリニアーを作るほど儲かり、一方は危険箇所が発覚しても対策が取れない赤字です。ここに分割民営化の狙いと問題点があります。
国民の生活に密着した鉄道、安全を確保する鉄道から、儲けを追及する鉄道、赤字路線は切り捨てる鉄道への転換です。
JR北海道ケン・ローチの『ナビゲーターある鉄道員の物語』そのものです。これはイギリスの話ですが、民営化によってどのように労働者が切り捨てられ、その結果、安全が上司の命令と金儲けに屈服させられていくかが、歯噛みするほど厳しく描かれました。
「今日の事態は国鉄の分割民営化に元凶がある」新聞はそれを避けて通ります。
[毎日]は9月25日に余録、社説、そして「クローズアップ2013」という特集記事で取り上げました。社説の見出しは「鉄道事業者の資格なし」です。私からいわせれば「ジャーナリズムの資格なし」です。
余録はこう書きました。「『安全文化』の最後のよりどころは鉄道員の意地と矜持である」。ならば新聞人の「安全文化」の責任は何か。繰り返し繰り返し真の原因に迫ることでしょう。
分割民営化の片棒を担いだ責任を頬被りする新聞に、真理は書けません。尼崎の事故についても、追及が甘いと見てしまいます。
[朝日]は26日の1面2面を使って書いています。しかし分割民営化の影響は「新規採用を控えたため」と小さく書きました。そしてそれよりも大きく「組合間の対立」という、ちょっと見ただけでは労働者に責任があるような書き方をしました。
国鉄の分割民営化は、現在の問題です。とりあえず労働争議の解決は見ています。しかし公共交通への悪影響はこれから出てくるのかもしれませんし、ジャーナリズムの弱点も明らかにされるかもしれません。