ドイツと日本

9日ドイツ、メンケル首相が来日し、講演、安倍首相と会談、記者会見しました。講演は朝日新聞の主催であったようで、[朝日]だけが全文を載せています。
メンケル首相が何を言ったかも大事ですが、[朝日]と[讀賣]の記事の違いもとても面白く感じました。
見出しの違い
[朝日]の一面は「『過去の総括 和解の前提』独首相会見 歴史認識に言及」、中見出しで「対ウクライナ連携」と「日中韓の融和期待」です。[讀賣]は「日独定期協議で一致」と「首脳会談 ウクライナ和平巡り」です。これでもうかなり両紙のスタンスの違いが分かります。
さらに2、3面、社説の見出しを拾ってみます。
[朝日]は「歴史・原発日独の距離感」と大見出しを掲げ、中見出しで「日 首脳会談認識触れず、独『過去と向き合う』強調」「日 再稼動の推進を明言、独 脱原発福島きっかけ」そして社説は「国際秩序強化へ協働を」です。
讀賣]は「日独強調し国際貢献」そして「積極的平和主義に理解」「首脳会談 日本の人道支援強調」「東アジア情勢 安保環境巡り議論」です。社説は「紛争解決へ『法の支配』強めよ」です。
御用新聞の面目躍如
讀賣]は見事に、安倍政権の代弁者に徹しました。メンケル首相が言ったことで安倍政権に都合が悪いことはなるべく短く、目立たないように書きました。それは何か、歴史認識です。一方の[朝日]はそれを強調して載せました。
「過去の総括は和解のための前提になっている」という言葉です。ドイツは敗戦を「解放の日」、「ナチスの蛮行からの解放であり、ドイツが引き起こした第2次世界大戦の恐怖からの解放であり、そしてホロコースト(ユダヤ人大虐殺)という文明破壊からの解放」と明言します。
この歴史認識は安倍首相にないものです。
原発問題でも、メンケル首相は「長年、平和的な核利用」であったが「素晴らしいテクノロジーを持つ日本でも、やはり事故が起きる」と、エネルギー政策を転換しました。
一方、安倍首相は「基準をクリアした・・・再稼動していきたい」といいます。[讀賣]はこの部分は載せていません。