戦争法案を廃案にしたい

6月末ごろから職場の労働組合で、「あすわか」(明日の自由を守る若手弁護士の会)の弁護士さんにきてもらって、戦争法案の学習会をやりました。
昼休みという短時間ですが、この法案の具体的な中身を紹介してもらいました。
この法案の危険性は、戦争の準備だけではなく、立憲主義という、日本の民主主義の根幹を破壊するという危険性をもった、安倍政権というのが浮かんできます。
私自身が、改めて危機感を持ちました。動かねば、という気持ちです。まず、この学習会を通じて学んだことを整理しておきます。
立憲主義の破壊
国会に上程された「戦争法案」(「国際平和支援法案」と軍事・防衛関連法10本の改正案)11本は、2014年7月1日に閣議決定した「集団自衛権は合憲」にもとづいています。
これまで自民党をはじめ歴代の政権は「憲法集団的自衛権を認めていない」と説明してきました。自衛隊日米安保条約など安保法制全体が「個別的自衛権」、日本が他国に攻撃されたときに、正当防衛として反撃する権利、にもとづいています。
ですから今回の法案に対しては、「憲法を改正して集団的自衛権を持つべき」という学者等からも「憲法のもとに為政者は政治を行うべき」「解釈改憲による政権の都合の良い変更はだめ」という立憲主義にもとる行為と批判の声が大きくなっています。
国の安全保障に関して、色々な意見、考え方はあっても、日本は憲法の下に統治されるべき、それは絶対に守らねばならない、そのことは憲法学者や弁護士など、法律の専門家の一致した意見です。
もはや安倍政権は「改憲」ではなく「壊憲」です。
詭弁を弄して
自衛隊は、日本が攻撃された場合にだけ反撃できる「専守防衛」の武装組織です。それを安倍首相は「従来の考え方を変えていない」といいながら、日本に対する攻撃がなくても「存立危機事態」という「他国への攻撃によって国民の生命、自由、幸福追求権に危機」と判断した場合に「集団的自衛権」によって出撃できると言っています。
しかし「それは具体的にどんな状況か」と言う質問には答えません。
また、これまで自衛隊が活動できるのは「非戦闘地域」と言ってきたものを、「現に戦闘行為を行っている現場ではない場所」と広げて、戦闘行為の一環である後方支援=兵站(銃弾等の補給、戦闘機への給油)が出来るとしています。
これは明確に自衛隊が海外の戦場に出ていくことで、確実に戦闘にまきこまれる危険は増します。しかし政府答弁は自衛隊の「危険は増えない」と言っています。
これはまったくのごまかしです。この法案に賛成している人でも「危険性を言うべき」と指摘しています。
安倍政権は嘘つきです。国民を愚弄しています。
「情勢は厳しくなっている」のなら
憲法解釈を見直す理由に、尖閣諸島をめぐる中国との対立があり、中国がベトナムやフィリピン等とも了解をめぐる争いが激化していることもいいます。
また北朝鮮のミサイル実験などを引き合いに「日本を取り巻く情勢がより以上に厳しい」ことをあげています。
しかし、もしそうであるならば、憲法9条など、平和憲法の精神で、強力な外交政策を展開することが必要です。この点でも安倍政権はまったく無能な政権です。
安倍首相自身が、国際社会でも歴史修正主義者と目されているように、大2次世界大戦で日本が「自存自衛」のために戦争をした、と信じ込んでいます。しかも戦後のアメリカが引き起こしてきた侵略戦争には一切批判を口にすることすらしない「ポチ」です。
そんな政権が、国際情勢を判断して憲法を超えた戦争行為を引き起こす権限を持つことは、考えるだけで寒気がします。
先のことは考えない
安易に自衛隊を海外の戦争に派兵することは、自衛隊員の生命を危機にさらすだけではなく、日本全体、国民全体に対しテロ活動の標的にされるなど、大きな危険を招きます。
しかも戦争には莫大な経費がかかります。壱千兆円もの借金を抱える国にそんな余裕があるのでしょうか。
仮に、戦争に巻き込まれる事態になれば、国民生活全体に大きな影響を与えることになります。それは致し方ないことでしょうか。
安倍首相は「不良から友達を守る」という例えを出しました。そのことはかっこいいことです。しかしそれで怪我をして家族の生活が破綻するようなことがあっていいのでしょうか。浅はかな家長を持った家族は不幸だった、ということになっていいのでしょうか。
馬鹿な例えだと思います。それで納得する人は百田尚樹のファンぐらいなものです。
この法案を通せば良い、それだけしかないようです。何のために、誰のために、それは「国民を守るために」では内容に思います。
大きく広がる反対運動
神戸新聞論説委員の方のお話を聞いて、この法案を廃案にすることが出来ると思いました。
まず、この法案が間違っていると思う人が増えているということです。世論調査でもそうですし、反対の集会や学習会が広がっています。政治問題に消極的だった若者も立ち上がっています。
これまで安倍支持の多かった50代60代の男で支持率が下がっているようです。
野党も「強行採決反対」でまとまりそうです。衆議院参議院強行採決を繰り返してでも、この法案を通すのでしょうか。国民はそれを許すのでしょうか。例え国会で圧倒的多数の議席を有していても、それはまさに民主主義の破壊です。
気になるのは労働組合、特に連合の組合が動かないことです。平和の問題は労働者の生活の根幹です。それに関心を持たない労働組合は誰のための組合かという批判を免れないと思います。