年末から年始にかけて読んだ本3冊

久しぶりに最近読んだ本の紹介をします。
『再会の街 探偵・竹花』藤田宜永

昨年、藤田宜永さんの『戦力外通告』を読み、痛く感動しました。題名どおりリストラされた男たちの話ですが、私は定年退職してリタイヤ組でちょっと違うものの、この本に描かれた男たちと相通じるものを感じました。
それで藤田さんを読んでみようと『怒鳴り癖』と言う短編集を読み、それから長編のこの本を読みました。
いずれも「切れ味鋭い」と言うのではないのですが、いずれも傾向の違う3冊の主人公のキャラクターが私に合ったのです。
これははっきりとハードボイルドのミステリーで、竹花という還暦を過ぎた探偵が、その年齢に相応しい活躍をします。人探しと裏社会、殺人事件と広がって行きますが、最後は「まあこんなところかな」という大団円となりますが、やっぱりキャラクターがいいと思いました。
『知ってはいけない−隠された日本支配の構造』矢部宏治
これは事実なんだろうと思います。日本が米軍に植民地並みの支配を受けている事実(沖縄だけでなく日本全体で)は、表の条約と隠された密約という法的な根拠によって、正々堂々とやられているものだと「暴露」しました。
「外務省が作った高級官僚むけの極秘マニュアル(「日米地位協定の考え方増補版」1983年12月」を根拠にしています。著者の「妄想」でもなければ「陰謀」でもないといいます。
これを読めば、なぜ政府が米軍に対して弱腰なのか良くわかります。今、現在生じている事象の合理的な説明ができると言うものです。
詳しくは読んでいただくとして、私が「そうか」と納得した3を紹介します。
①米軍は日本のどこにでも基地を作る権利があり、日本はそれを認めている。
イラクは「イラクに駐留する米軍が、イラクの国境を越えて周辺国を攻撃することを禁ず」と言う条約を結んでいますが、日本にはこれがない。だからベトナム戦争に沖縄から爆撃機がいけた。
③米軍に対しては憲法は機能しない。
『トラップ』相場英雄

相場さんは人気者で図書館ではいつも貸し出し中なのです。1月7日にあったのはこれだけでした。
警視庁捜査2課の刑事を主人公にした四つの連作短編です。2課は知能犯が担当で詐欺、汚職、選挙違反、企業犯罪などを捜査しますが、これを読んで「こんな風にやっているのか」と思いました。
スノーデンではありませんが、警察はやろうと思えばかなりのところまで個人情報を集められると言うものです。
相場さんの面白いところは、そんな捜査、犯罪だけではなく、そこにいる警察官も含めた現場を書ききっています。いや面白い。