3月の映画

リバーズ・エッジ』『Blank13』『15時17分パリ行き』『生きる街』『花筐』『午後8時の訪問者』『スリー・ビルボード』『愛を綴る女』『彼女がその名を知らない鳥たち』『裁き』『ハッピー・エンド』『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』の12本でした。新長田のコナミが廃業して、1月空きました。今月はスポーツ・ジムに行かなかったので時間をとることができて12本も見てしまいました。
一番いい映画は映画サークルの例会の『午後8時の訪問者』でした。『Blanku13』と『スリー・ビルボード』『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』も面白いと思いました。大林宜彦の『花筐』は期待していましたが、私には「残念」と言う評価になりました。
まずは『午後8時の訪問者』から。
女医のこだわり

ジェニーは、診療時間を1時間以上過ぎて診療所の呼び鈴を鳴らした少女を拒否し、彼女が死んだことを非常に重く受け止めました。すぐに反応しようとした研修医を、彼女は止めます。「診てほしければ何度でも鳴らす」という判断をしたのです。
私は、それはやむを得ないと思います。実際に、少女は病気を診てもらいたかったのではなく、男に追いかけられていて、逃げ道を捜すために診療所の玄関に来て呼び鈴を鳴らしたのです。
ところがジェニーは、もしすぐにドアを開けていたら少女は死ななかったのではないかと思ったのです。それはそうかもしれません。
ですが、時間に関係なく診察を求める患者にどう対応するのか。彼女は「まず開けるべきだ」と思ったようです。
映画は、ジェニーが死んだ少女の身元を捜していくことに重点を置いています。アフリカから来た少女や彼女の周囲の人々がどのように暮らしているのか、あるいは彼女が事故死してしまう原因を作った男たちの暮らしぶりも明らかにしていきます。
この映画で、ベルギー社会のなにか(例えば医療制度、移民政策等)を鋭く告発するということはしていません。ベルギーの人たちも色々な厳しい事情があるというだけです。
その中で、ジョニーが成長していく姿を見せます。いい病院に移籍できる機会を断って、街の小さな診療を引き受ける決断は、あまりにもカッコウが良すぎるのですが、彼女が患者たちに向き合う姿をみると、その選択をするだろうと納得します。
ぼんやりと描いているように見せて、一人ひとりの人間の悩みを描いたと思います。
チャーチルの決断

ヒトラーが第2次世界大戦を引き起こした後で、英国議会はチェンバレン首相を引き摺り下ろして、チャーチルのもとに挙国一致の戦時内閣をつくり、戦争に対峙します。その時はドイツ軍は欧州大陸の大部分を侵略し、英国陸軍30万人をダンケルクに押し込んでいました。
映画は、英国軍が全滅の危機のもとで、ヒトラーと和平交渉をするのか、断固戦い抜くのか、という悩むチャーチルを描きます。
チャーチルヒトラーは交渉の相手にはならない、と考えていますが、チャンバレンなどは戦争が劣勢のもとで、これ以上戦えないから、イタリアを仲介として和平(実際はドイツに屈服する)に持っていくべきだと画策します。しかし国王や国民の支持があることを確信したチャーチルの決断は素晴らしいと描きました。
彼は自分の考え方(断固としてファシズムと戦う)は正しいと信じていても現在おきていることをきちんと把握することと、議会の多数、党の多数を得ることが大事だと、演説の文案を練り、言葉を選んで多数派工作を行いました。
独裁と民主主義という対比も見せています。
(続く)