8月の映画

コスタリカの奇跡』『追想』『2重螺旋の恋人』『ゲッペルスと私』『いつだってやめられる7人の危ない教授』『スターリン葬送狂騒曲』『正しい日間違えた日』『判決、ふたつの希望』8本でした。8月は第1週と2週に用事があった割にはよく見ました。
でも良かったいえる映画少なく、ちょっと物足りない月でした。『コスタリカの奇跡』は例会で解説を書き、『ゲッペルスと私は』西神ニュータウン9条の会のHP9月号に書きましたので、それをご覧ください。
ここでは『判決・・・』と『2重螺旋の恋人』を書きます。
ふたつの希望
レバノンの映画です。二人の男のささいな喧嘩が国を挙げての裁判になると言う話です。

一人がパレスチナの難民、もう一人がレバノン人。レバノン人は難民排除の政治団体に入っていて、言い争いの中でパレスチナ人に「シャロンに抹殺されれば良かった」と罵り、肋骨を折られます。
当然肋骨を折られた側が原告で、折ったパレスチナ人が被告ですが、1審では、双方とも、その侮辱した言葉を言わずに、証拠不十分で無罪になります。
そして上告して二人に弁護士も付き、本格的な事実確認に法解釈の審議が始まります。すると意外な事実が次々と出てきます。
侮辱と暴力という単純な事件が、「パレスチナ大義」を争うような騒動になり大統領が仲裁に入る、と言うところまできます。
工事現場でのいざこざが発端ですが、弁護士の調査で二人の過去が洗い出されて戦争の被害者であることが明らかになります。背負っているものの重さが強調され、最後は「和解」のような感じで終わります。

二人の妻、弁護士が女性です。男同士の厳しい対立の傍ら、彼女らを見ているとホッとした思いです。
タイトルにある「希望」しかも「二つ」、これがなにか良くわかりません。一つは対立していた二人がお互いのことを少し分かり合えたことでしょう。もう一つは、裁判によって隠されていたレバノンの悲劇を共有したことでしょうか。
よく分からない
『2重螺旋・・・』はフランソワ・オゾン監督作品です。彼の名前を見て映画を見ました。でもあんまり良くわからないのです。
しかし惹かれました。

若い美人の女がいて、彼女は原因の良く分からない腹痛に悩まされています。それで気持ちの問題かと思って精神分析医にやってきます。その医者と恋仲になって結婚(法的にはどうか分からないが、実質的に一緒に住む)して、腹痛も忘れて平和に暮らします。
ある日、夫にそっくりな男を見つけて後をつけると彼も精神分析医でした。さらに二人は双子だと分かってきます。しかし夫は温和、もう一方は過激、と二人は極端に違います。
その間に女はいて、悩みゆれ動いていると、と言う映画です。
ちょっと分からないです。しかも彼女は妊娠していると思っていたのですが、そのお腹にいたのは、彼女が生まれたときに一緒にいた双子の「残骸」だったという、謎解きまでありました。
人間の心のうちは分からない、と言う映画でしょうか。
コスタリカの奇跡』はまたどこかで書きます。