ようやくこれで6月が終わりました。
『テレビで会えない芸人/松元ヒロ』
パントマイムの一人芸人、松元ヒロを紹介するドキュメンタリーです。
この映画は初めてですが、松元ヒロは何度も実演を見ているので、ここで描かれる彼の芸はちょっと中途半端でした。
彼を知らない人にとっては、政治社会的な問題を率直に言及し、権力批判を躊躇しない面白い芸人を始めてみるとことになります。松元ヒロを楽しめばいいのです。
それはそれでいいのですが、松元ヒロを知っているものは、なぜ彼をテレビに出さないのか、どういう理由なのか、そちらを知りたい、テレビ業界の裏側、本音を描いてほしいと思います。それがありません。
製作は鹿児島テレビです。彼を出さないテレビ側の都合と実情を描くべきだったのでしょう。
『イントロダクション』
期待外れでした。
ストーリーも人間関係もよくわからない映画でした。韓国もこんな映画をつくりしかも高い評価をしているのですね。
『はい、泳げません』
邦画ですが、もう少し深みを持てよ、と言いたい映画です。
大学で哲学を教える小鳥遊雄司(長谷川博己)は幼い頃のトラウマで、水が怖くて泳げません。一大決心をして薄原静香(綾瀬はるか)の水泳教室に入りました。
にぎやかなおばちゃんたちに混じって泳ぐ練習をする雄司ですが、映画は彼の過去と現在を少しづつ描いていきます。
そして普通の人生の中の色々なことがあって大団円となりました。
大学の先生を主人公にしているのですが、准教授レベルはこの程度なのかと思いました。人生経験が足りないだけでなく、学問の深みが感じられません。
でもやはりおかしい、書物を通した学問だけでなく哲学は現実社会と格闘し、世界情勢や大学に対する不満もあるはずです。それがありません。
自分自身の心についても問いかけた時期があり、その一定の積み重ねの上に、なおも足りない自分を超えるために水泳教室に入ったと思うのですが、それも感じられません。
原一男の大作です。3部に分かれていて、水俣病のこれまでの経緯をきちんと描いているドキュメンタリーでした。372分という長尺ですが飽きることなく見入っていました。
病症、それを医者は学者は行政は政治はどのように取り扱ったか、その真実は何か、それが1部です。そして患者の闘い、苦しみ、家族の悩み、2部では患者自身の内側までもカメラは入っていきました。最後3部は裁判です。ここでもリアルな人間像が写し取られていました。
医学と科学、患者は人間、裁判は社会の反映であることがよくわかりました。