『ザ・ホエール』『不思議の国の数学者』『崖の上のスパイ』『啄む嘴』『グリード―ファストファッション帝国の真実』『東から』『セールスガールの考現学』『ハマのドン』『女性上位時代』9本です。連休は関係ない生活ですが、映画の本数はこの程度が限度です。
園田学園のシニアコース等、映画の他にするべきことが増えているのですが、隙間をつくって映画を見ました。西神ニュータウン9条の会HPに「憲法と映画」の投稿を続けているので、それらしい映画を探すとなると、やはり本数を見る必要があります。
まず5本を書きます。
『ザ・ホエール』
自力で歩けないほど太った男チャーリーの話です。なぜそこまで太ったのか、その理由は明確にはわかりません。当たり前ですが、ここまで太ると自分で外出が出来ないのですから、人生を左右する問題です。
大学の通信講座で論文の書き方を教えている男ですから、インテリです。だから私は、彼がそこまで自滅的な人生に踏み込んだのか、わからないのです
段々とこれまでのいきさつや、彼の生き方考え方が明らかになっていきます。この辺りは上手な描き方だと思いました。
チャーリーはかつて結婚していて子どももいました。さらに彼がここまで太った直接の原因が、男友達の死だということも暗示されます。
これで私はわからなくなりました。潜在的なゲイであったのが、女性と結婚して、目覚めて破綻したということになります。
だから複雑な人生です。
『不思議の国の数学者』
北朝鮮から韓国に逃れてきた天才的数学者と、エリート高校に通う男子学生の交流を描きました。
有名私学に入学したものの数学が苦手で、教師から退学を進められたハン・ジウは、学校の警備員のおっさんイ・ハクソンが数学の天才だと知り、教えを乞うようになります。
イ・ハクソンは数学の問題を解いていくのは結果よりも過程が大事だと教えました。そのことでハン・ジウは自信を得たのです。
天才科学者の過去の辛さと高校生の未来、という対比が見えました。北朝鮮の暗い社会もありますが、韓国の教育、学歴偏重というものを感じます。
『崖の上のスパイ』
満州国を舞台にした、特務警察と潜入した中国共産党スパイの戦いです。大日本帝国との戦いとは描いていません。中国人同士の戦いです。
ソ連で訓練を受けた諜報部員4人が、日本の秘密施設から逃げた同志を国外に逃亡させるという任務を負って、満州国に入りました。しかし、それは裏切り者によって特務警察に知られていました。
しかし特務警察にも共産党同志が潜入していたのです。ですからお互いの腹の探り合いもあり、ハラハラドキドキ、逆転逆転があります。
凄惨な拷問シーンがあり、それを耐えて脱出するなど、ある面で痛快なアクション映画でした。ちょっとわかりにくい展開です。
でもそれ以上に、日本の満州侵略、中国侵略の本質が描かれていないので、あまり評価できません。
『啄む嘴』
多重人格の犯罪を描いたといいますが、全くわかりません。ストーリーもよくわからなかったので、感想の書きようもない映画でした。
『グリード―ファストファッション帝国の真実』
市民映画劇場5月例会です。
一代で大金持ちとなった男を主人公とする映画でした。その巧みな錬金術、法の網をすり抜ける悪辣さ、犠牲となる人々、現代のグローバリズムの正体を告発しました。
ファーストファッション界の帝王と言われるリチャードの還暦祝いの超豪華なパーティを軸に、彼がやってきたこと、成り上がる商売の手口、企業の乗っ取りなどを回想的に見せました。
断片的な映像の積み上げで、ちょっとわかりにくさがありますが、ラストシーンは強烈でした。