2023年5月に見た映画その2

『東から』『セールスガールの考現学』『ハマのドン』『女性上位時代』残りの4本です。

これも簡単に書きます。

『東から』

 画面が暗くてわかりにくいから、ほとんど寝ていました。珍しく覚えていません。インターネットで検索しても、情報もなく記憶をよみがえらせることはありません。

『セールス・ガールの考現学

 現代のモンゴルの大都会で生活する女の子の「生態」とでも言ったらいいのか、草原の民というイメージが大きく変わりました。

 ウランバートルで家族と暮らす女子大生のサロール(原子工学を学ぶというアンバランス)は、ひょんなことからポルノショップの店員を務めます。

 変な客も来ますが、そこのオーナー(高齢の女性)と付き合っていくうちに、人生、男と女の機微を知るという映画でした。

 グローバリズムの世界ですから、モンゴルの女子大生がこういう経験をするのも当たり前と思います。

『ハマのドン』

 自公政権に正面から戦いを挑んで見事に勝利するという快挙を勝ち取った中心人物、藤木幸夫を描きました。

 西神ニュータウン9条の会HP投稿したものを載せておきます。

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久々の快挙を描いた

 横浜港湾業界の中心に座り、長年にわたり自民党を支援してきた「ハマのドン」と呼ばれる藤木幸夫(1930年生まれ)、彼が「横浜港にカジノは作らせない」と、政府自民党に対し、正面から反対する態度を表明し、カジノ反対の市民とともに選挙戦を闘う姿、その彼の信条を追うドキュメンタリーでした。

 最初、藤木さんはカジノ賛成でした。横浜が活性化すると思ったのです。しかしカジノの本質、博奕が人間を狂わせ、人々の生活を破壊することを知り反対に回ります。

 自民党や当時の横浜市長、林文子に誘致を辞めるように言います。しかし逆に藤木さんに圧力がかかりました。

 2021年、コロナ禍の横浜市長選挙で、彼はカジノ誘致撤回を掲げる山中竹春の陣営の代表に座ります。自民党菅首相(当時)の側近である小此木八郎が、大臣を辞任して、しかも「カジノ中止」を明言して立候補します。自公政権は総力を挙げた選挙戦を展開しました。

 「ハマのドン」は自民党とのこれまでの関係を振り捨てて「博奕はダメ」「横浜の未来のために」と、住民投票を求める市民19万筆の署名を信じ、菅首相に喧嘩を売ったのです。そして見事に勝ちました。

 菅首相はこの選挙のあと退陣します。なんとも胸のすく快挙でした。

 映画は、戦後の藤木さんの歩みも挿入します。自由にモノが言えなかった戦前から自由と民主主義の時代への変化、勉強し自分の頭で考えることが大事と仲間を集めます。そして結党直後の自民党にも入党、父親がつくった港湾荷役の会社を引き継ぎ「ハマのドン」の地位を築きました。

 この選挙のあとでも自民党が彼を除名したという記事は知りません。

掘り込みが足りない

 見ていて気付くのですが、なぜこの人が長年自民党を応援してきたのかという疑問です。横浜港を愛し港湾労働者の幸せを願ったという藤木さんと労働者、労働組合の関係はどうなのか、そういったことを描きません。

 少なからず葛藤と対立があったはずです。

 藤木さんは「今の自民党は最低だ」と言いますが、私は以前から最低だと思っていました。とりわけ安倍政権はカジノ以前から平気で嘘を垂れ流し、国民を騙してきました。これを藤木さんどう見ていたか、突っ込んだ映像はありません。

 90歳を超え、何も怖いものがない男に聞きにくいこと言いにくいことを突っ込むのがドキュメンタリーの値打ちです。

『女性上位時代』

 1968年のイタリア映画です。

 取り立てて裸が出てきたり、セックスシーンが多いわけではないですが、まさにエロチシズムの映画でした。

 20歳で夫をなくした未亡人ミミ(カトリーヌ・スパーク)は、夫が生前に、特異な欲望のために秘密の一室をもっていたことを知り、自分もそれを味わいたいと思います。

 夫が密かにたのしんだサディズムマゾヒズムの世界を経験しようと、亡夫の親友で弁護士、親友の夫、テニス講師、生真面目な歯科医、次々と関係を持ちます。

 母親が、ミミがおかしいと心配して大学病院に行くことを進めました。彼女はそこで放射線科医カルロ・デ・マルキ(ジャン=ルイ・トランティニャン)に出逢います。

 学生と偽って講義にも出席、やがて例の部屋にも誘いました。ふたりは意気投合して結婚します。

 ミミは念願であった「女性上位」を実現、馬になったカルロにまたがり、新居をたのしく歩き回るシーンで終わりました。

 性を上品で神秘的に扱っていると思いました。