2023年8月に見た映画

『サントメール ある被告』『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』『縁路はるばる』『絶唱浪曲ストーリー』『高野豆腐店の春』『長崎の郵便配達』『教育と愛国』『氷の微笑』『THE KILLER暗殺者』の9本でした。本当によく見たものです。園田学園シニアコースが夏休みに入って、ちょっと時間が出来た感があって、映画を見てしまいました。

 みんな短く感想を書こうと思いますが、2回に分けます。

『サントメール ある被告』

 ちょっと難しい映画という印象です。サントメールは実在する、パリの北の小さな町です。そこの実際にあった事件、裁判の模様を取り上げた映画です。

 セネガルからフランスに留学した女性が自分の赤ちゃんを海岸に置き去りにして溺死させた事件を裁くものです。

 最後まで、彼女自身がそんなことをした訳はわからないままでした。黒人の女性ということが一つのキーワードのようです。

 思わせぶりなことは出てきますが、結局、私にはわかりません、というほかない映画でした。

シモーヌ フランスに最も愛された政治家』

 実話に沿ってフランスの女性政治家の人生を描きました。

 ユダヤ人でアウッシュビッツ収容所から生還した一人です。戦後は治安判事となり、官僚として政権の重要ポストの階段を登り、そしてジスカール・デスタン大統領の下、シラク内閣の厚生大臣を務めます。その半年後に1974年中絶法を成立させました。その当時のフランスはカトリックの影響が強く、国会議員も圧倒的に男が多い中で、多くの批判を浴びながら提案であり、成立です。

 シモーヌも偉い女性ですが、デスタンは社会党ミッテラン(後に大統領)と争った中道右派のひとですが、保守系カトリック教会の反対を押し切っています。

 1979年に欧州連合の初めての直接選挙による欧州連合議会議員選挙が行われ、彼女は欧州連合議会議長になります。

 右翼的な陣営で、のちにサルコジ大統領も支持しますが、一貫して女性の権利の確立に努力したようです。

 映画としては平凡です。

『縁路はるばる』

 香港映画で意外と面白いと思いました。

香港の面積は1100㎢で神戸市の約2倍ですが、約260の島を持ち6割が山だと言います。人口約75百万人で人口密度は6800人/㎢と人口は密集していますが、この映画を見ると、狭いようでも色々な場所があるのかと思いました。

 IT企業に勤めるちょっとぼんやりした男が次々と5人の女性と知り合い、付き合いを深めていくのですが、彼女たちはみんな「ド田舎」に住んでいるから、香港中を駆け巡るような映画です。

 5人の女性との関係が面白かったように思いますが、忘れています。しかも多少でも地理を知っていたらいいのですが、私には、その面白さはわかりません。

 これまでは高層ビルや迷路のような繁華街が香港のイメ-ジでしたからそれとは大違いの雰囲気がありました。

 中国の抑圧的なことは何も感じませんでした。

絶唱浪曲ストーリー』

 浪曲家になる若い女性を追ったドキュメンタリーです。

 今はまったくといっていいほど人気がありませんが、昭和の時代はすごかったらしいです。戦前と戦後の早い時期、それから堕ちていきますが、1970年代まではラジオで聞けました。

 私はテスト勉強を早朝していたので「おはよう浪曲」というラジオ番組をよく聞いていました。おそらく70年代半ばですね。今でもCDで浪曲集を持っています。広沢寅造、京山幸枝若等を覚えています。

 現代ではどうなっているか、浅草の木馬亭が定席で、私も一度だけ行きました。3000円前後で、20代は割引があったように思います。

 それはともかく、この映画は、かなり高齢の師匠、女流浪曲師、港家小柳のもとで彼女の弟子で、平成生まれの女性、港家小そめがデビューするという話でした。少しずつですがファンも付いているようです。

 それはそれで喜ばしいのですが、残念なのは、浪曲黄金時代の映像がなくて、滅びゆく芸能という悲哀の方が出てしまっているのです。私はその魅力を再確認したいと思いました。