天下り問題 10月2日朝日新聞be

 「朝日」が「民主党天下り根絶』の限界」という記事を書いているが、はっきりいって「ええかげんなことを書くな」という腹がってくる記事だ。
 ここで問題にしているのは国家公務員の高級官僚といわれるところだ。それなのに最後のところでは「有力な支持母体である労働組合の強い反発」という。わざと高級官僚の問題を公務員一般にすりかえている。民主党を支持している国家公務員の労働組合は「有力な支持母体」といえない。連合が公務員を擁護しているとも思えない。「有力な支持母体」といえる自治労は地方公務員の労働組合だ。
 コメントを取っているのは兵庫県立大学の中野雅至教授だけだ。2冊ほど彼の本を読んだが、彼が真面目な公務員制度の研究者とは、とても思えない。たくさん本を出しているが、どんな分野であれ研究書と呼べるようなものを見たこともない。私が知らないだけかもしれないが、軽い新書だけの印象を持っている。だから、彼なら記事の主旨にあうコメントをしてくれるから載せたのだろう。あるいは彼はもっと色々なことをいったかもしれないが切り取られたに違いない。
 天下りを退職した職員から、出向する職員にまで広げていて批判している。しかし、ここでも「独立行政法人、民間企業など」と書き、地方自治体への出向、天下りには触れない。
 天下り問題で何が中心的な問題かといえば、この記事に「省庁が職員を押し付ける代わりに、天下り先に対し、補助金や事業の発注、許認可、情報提供などで有利な取り計らいをする」と書いてある。それならば、それが問題だ追求するべきだろう。違法な補助金随意契約、許認可、あるいは守秘義務に反する情報提供があれば、刑事告発するべきではないか。あるいは、今行われていることが合法行為であるが、それが国民の利益にならないものなら、調査してキャンペーンを張るべきだろう。
 そういったことをまったくしないで、天下り問題を公務員制度にすりかえるのは、詐術詭弁的な誘導を行い、何かを隠そうとする大きな権力の手先であるからだろうか、と疑いたくなる。