因果応報、天罰ではない

 この大震災を天罰というのは、語彙の貧困というよりも根性の表れと見るべきでしょう。それでも東京都民は汚物のようなこの人を頭に戴くのでしょう。まあやむを得ないといえばやむを得ません。彼に代わるような候補者を出せなかったのですから。
 と今からそんな絶望的なことを言っても仕方がないのですが、日本の左翼は力を合わせるということが本当に下手なのだと思いました。これはいったい誰のせいなのだ。
 あまりたいしたことではありませんがプロ野球の開幕がパ・リーグセ・リーグもあわせて4月にずれ込みました。それでいいのですが、あの騒動を見ていて、改めて正力松太郎を思い出しました。
 彼はプロ野球とテレビとそして原発を作った、といわれています。彼の間違いを正すこともなく、今日に至っているから、現在の事態になっていると思います。
 まずプロ野球はなんと言っても巨人が第一で、ほかはどうでもいいという体制になっているし、プロ野球全体、野球というスポーツのことを真剣に考えるべきコミッショナーは巨人オーナーの顔色しか見ません。何よりも正力松太郎賞などという汚物を頭に乗せて平気な神経は、スポーツとは無縁だと、思い出すたびに思います。
 それとテレビはジャーナリズムに値しません。権力に擦り寄ることと弱いものいじめしかしないという体質から抜けません。原発報道を見ていても大本営発表とどこが違うのか、と思います。現場を地道に追う報道があまりに少ない。楽な道、真実をゆがめてでも、財界などのご機嫌を取り続けています。
 そして原発は、彼の総力を上げて「安全神話」を作り、国民の命を人質に莫大な金を儲けています。東京電力の今度の事故に対する無神経な対応の根っこはそこにあると、私は思います。
 さらにもう一点。大きな被害にあった石巻出身の弁護士、布施辰治の映画を見て、気づかされました。関東大震災のときに在日朝鮮人たちがたくさん殺されましたが、その流言飛語を作ったのは正力松太郎であったということです。彼はそのとき警視庁の大幹部でした。
 朝鮮人殺戮に手を貸したのは「自警団」だったらしいですが、彼らが朝鮮人を見分けるために「15円50銭」という言葉を言わせればいいということを、警察から教わりました。彼らは、そんなことを知る由もないのに、それを知ったのは警察ルートしかない、という分析に、私はなるほど、と権力の残酷さに改めて怒りを覚えました。
付け加えておくと、正力は戦前の警察官僚で皇太子(昭和天皇)襲撃事件の責任を取って、免職になり報知新聞、読売新聞の社主になりA級戦犯容疑者の一人であった。間違いなく戦争責任者だ。