新聞記事切り抜きアラカルト

 新聞は適当に読み流すが、面白そうなものはいったん切り抜いておいて置く。本来の狙いはそれをまとめてここに書こうと思うのだが、飲んで帰る日が多いのと、頭が回転しないこともあって、ほとんどがそのままゴミ箱に行く。
 ただし映画関係だけは、ファイルして例会場においている。あまり見る人はいないが、映画鑑賞運動の基礎的な知識としていると思うので、そうしている。もし、興味があるのなら是非読んでほしい。映画の紹介や定番の朝日新聞「銀の街から」(沢木耕太郎)だけではなく、もう少し幅広く切り抜いている。
 興味を引き手元にある切抜きから紹介しておこう。
川崎のぼる氏が賞辞退」(時流底流)3月21日毎日
 中止になった「東京国際アニメフェア」(実行委員長=石原慎太郎)の功労賞を辞退したそうだ。川崎のぼる氏は「巨人の星」(嫌いだがよく読んでいた。「いなかっぺ大将」とか「長男の時代」がいい)で知られているし、同賞は手塚治虫赤塚不二夫なども受賞している。
 彼は東京都が青少年健全育成条例改正(性的描写を制限。多くの出版社や漫画家が反対した)に反対して、受賞拒否をした。見識だ。
「がんばろう日本」(東京支社編集局長=子孫茂)3月21日日経
 これが日経新聞の基本的な考え方だろう。
 まず「首相は逃げてはいけない」と誰もが批判する、批判しやすいところの責任を言う。巨大地震、大津波原発事故に対して日経新聞はまったく責任がないというスタンスを押し通している。
 復興の財源を子ども手当てや高速道路無料化をいい、「国内に滞留する巨額資金も復興国際や復興税によって生かせば良い」という。大企業の内部留保が244兆円もあるのだから、復興事業の「20兆円」ぐらいは、工夫次第で出てくる、とはいえない。
 世界の「3つの大波」をリーマン・ショック新興国バブル崩壊、中東・北アフリカの混乱による資源価格の高騰という。人の命ということよりも、お金だ。
 復興についても大手電機メーカ幹部の「世界への部品供給を早急に再開して責任を果たす」を引用し「企業が早期に復興すれば、国全体の復興につながる」という。
 多国籍企業がいくら儲かろうが元気になろうが、国民生活は切り下げられてきたことは、この間の経験で明らかで、新自由経済では被災地の復興はできない。
 国民生活や国土を守るということよりも、別のものを守りたい新聞である。
「官邸は大局見据えビジョンを」(飯島勲・元首相首席秘書官)3月21日朝日
 朝日新聞は何を狙ってこんなコラムを載せたのか。写真まで載せて記事にして、小泉時代がそんなに恋しいのかと思った。中身は何もない。バカか。
「CMの現場感覚」(CM天気図=天野祐吉)3月23日朝日
 「現場感覚」というのはテレビの最大の特徴で、今回の震災報道はそうだろう。天野さんはさらに「ドラマにせよバラエティにせよ、テレビはもっと時代の”現場”を追い、そこにぼくらを立ち合わせてほしい」という。
 今のテレビがどれほど「時代」を意識しているかわからないが、それは重要な観点だと思う。テレビは”現場”を追い過ぎて「時代」を見ていないか、わざと「時代」感覚を混乱させているように思う。
 CMについても今のACのCMを批判し、阪神淡路大震災時の「被災地に残っている水道の蛇口を写した映像に、おじさんのこんな声がかぶさるCMだった。『水、出てるよ、水。持ってって。そやけど、ナマで飲まんといてな。ぽんぽん、こわすよってに』」を引き合いに出して「状況としての現場」があったと言う。
 今、即興でも必要なのは「みんなに親しまれている文化人やタレントが、手持ちのビデオカメラの前で励ましのひとことを語る」ことだという。それだと思う。
 今はスポーツ選手や軽い芸能人の「ガンバロー」コールだが、そうではない、気持ちを暖かくするものはできないのか、と思う。