企業が呼ぶ講師

 2月9日午後に50歳以上を対象とした研修、外の講師の講演を受けました。経歴を見てもおそらく私とは合わないと思っていましたが、ブログのネタにできるかと思って受けました。それで、そのとおりなので、簡単に感想を書いておきます。
「50代から作る人生の黄金期〜知識と経験を次世代に順送りしよう〜」講師は古川裕倫さん。三井物産に長く勤めて、ホリプロの取締役、そして起業して代表。昭和29年生まれとなっていますから、私より1学年上ですかね。
 まず良いところを書いておきましょう。タイトルどおり「次世代に送る」が一番大事なことだと、同意しました。先輩に教えてもらい、色々と考えたことを、後輩にどう伝えていくかが、私もそれを気にしています。
 それと、年をとって回りにどんなことを気遣いをするか、という点にも同意できました。例えば、話がくどい、人の話を聞かない、わがままになる、ということは、私も思い当たります。気をつけようと改めて思いました。
 しかし、それ以外はあまり感心しない話です。いわば「成功者」のお説教に近いものがあります。「良書を読む」といっても古典を読むというのではなく、ビジネス書ではないかと思います。せいぜい司馬遼太郎ぐらいで、坂本竜馬を褒め上げますが、それしかネタがないのかというぐらい幅の狭い話です。
 後は財界の偉い人はどんな風かということです。もし彼らが本当に偉い人なら、労働者の生活がこんなに酷くなるはずがありません。
 財界の中心にいる連中は「わが亡き後に洪水は来たれ」をむき出していると思っています。
 そうそう、もう一つ、今の日本とか世界がどのようになっているということはまったく触れません。[3.11]を言わない人は信用できません。
 さらにまた追加して、考えたことをるる述べます。
 古川さんは「幸福を求めるかと」と聞きます。そして幸福とは心の持ちようだといいます。高杉晋作の「おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり」という句を持ち出して、心が決める。さらに志を持てとか、一事をなせとか。一見すると耳障りのいいことを並べたてます。
 私は違うと思いますが、どこがどう違うかまでは、すぐにわかりません。しばらく考えて、そしてようやくたどりついたのは、それは観念論であり、私が考える唯物論とは違う概念であるということです。それなら「幸福か」という、誰でもなじみやすい言葉に対抗するのは何かということを言わないと、と考えました。
 そしてでて来たのは「健康で文化的な生活」「人間らしい労働」という言葉です。「幸福」は感じる言葉ですが、「健康で文化的」や「人間らしい」は感じるのではなく考える言葉です。
 どうなれば、そうなるのか。その言葉に相応しい状態を考えること、そこから全てが始まる、ということです。