3月31日の社説

 消費税増税法案の国会提出を決めた翌日の全国紙社説は、こぞって消費税増税の応援団の姿をあらわにした。[朝日]「やはり消費増税は必要だ」[毎日]「民・自合意に全力挙げよ」「読売」「首相は審議入りへ環境整えよ 野党と「政策スクラム」形成を」という見出しであった。
 記事の内容も含めて、国民不在というのが共通の論調だ。上から目線で、財政危機や社会保障のために消費税増税しかない、それを「馬鹿な」国民と「いいかげんな」政治家に邪魔はさせないという、統一的な嘘で塗り固めた社説を掲げた。
 論説委員という人たちだろうか、新聞社の中枢に居る人々が、ここまで恥も外聞も、そして知性や品性もかなぐり捨てて財界の方針に平伏するのはなんだろうと思う。
 戦後、新聞は戦争を煽り立てた責任から国民と共に出直すと誓ったと思っていたが、日本がいよいよ厳しくなったときに、戦前においては軍部に対して無抵抗になり、そのお先棒を担いだように、今度は財界の幇間なった。
 [朝日]は財政悪化は社会保障だと言い切った。そして社会保障には消費税という。最後に「私たちは目を凝らし、厳しく注文をつけていく」とは白々しい。ここにあっても無駄の筆頭である「米軍への思いやり予算」や「政党助成金」に手も触れない。
 [毎日]は、全ての政治家は消費税増税に手を貸さなければならないという。「消費税増税は本来、民意を問うに足る重大なテーマだ。だが、政治を前に進めていくことの大切さも軽視できない」と国民不在の政治を煽り立てる。国民不在の新聞だ。
 [読売]は指摘するほどの内容もない。
 これらの論調は「満蒙は日本の生命線」と同じように見える。
 消費税増税では、税収全体が増えないことを[朝日]や[毎日]は特集記事で明らかにしている。にもかかわらず税金はお金を持っているとことから取るべきと言う、ごく自然な考え方は採らない。なぜなら、今お金があるのは大企業の内部留保であることは誰でも知っているからだ。そんなことを言えば、広告を出してくれる大企業に睨まれる。
 ご主人様の手は、絶対に噛まない「優秀」な番犬である。こんな新聞を読むのは、国民はやめたらいいのに、と私は思う。
 [神戸]はかろうじて消費税増税賛成の社説は書かなかった。「連立迷走 不毛な対立を繰り返すな」と、何を書いているのか、ちょっとわかりにくい文章で逃げている。これが新聞人の最後の良心かなと思う。