『鳴神』

 神戸演劇鑑賞会の例会で、6月22日前進座の公演です。
 私は、やはり前進座の芝居が好きです。しかも『鳴神』は歌舞伎の中でもわかりやすくて面白い演目です。

 ご存じない方は、ネット調べていただいたら良いのですが、私の解釈を少し言っときますと、修行を積んだ僧・鳴神が法力によって、雨を止めてしまったのに対し、絶世の美女・雲の絶間の姫が女の色香で懐柔して、その法力の無効にしてしまう話です。
 僧侶はいわば特権階級で、しかも雨を止めるという絶対的な力を持っている男です。この男というのも重要な要素です。
 それが自分への褒美が少ないといって、大勢の人が困るにもかかわらず、雨を止めるというわがままさです。
 この男を退治に来たのが絶間の姫です。美しくて賢い姫が悪人を、女の武器である色香と酒で法力を破るという、いわば世界各地にあるような昔話タイプです。それは庶民の願いであると同時に、男と女の関係でもあります。
 そして歌舞伎という、伝統的に練り上げられた技で、これを演じると、本当におもしろいとなります。