広島カープの再建を願って

 昨日6月28日の夜、久々に広島カープの野球中継を見てがっくりしてしまった。
 対戦相手は阪神タイガースで、試合は8回の裏に、抑えのエースを投入したにもかかわらず、一挙6点を取られて逆転負けという、という最悪のパターンだった。
 その負け方の一部始終を見ていたのだが、広島カープというチームの魅力が、昔のイメージから大きく変わっていると思った。
なぜファンになったのか
 広島カープが初優勝したのは1975年、メジャーから呼んできた初めての外国人監督ルーツが途中でやめて、チーム生え抜きの古葉監督に代わった年であった。
 その前3年間は連続して最下位であった。ファンになったのは、その最下位時代であった。チームが溌剌としていた。山本浩二衣笠祥雄がまだ20代、外木場、安仁屋、白石、大石が先発4本柱で、金城、佐伯ら若手投手陣が輩出する時期であった。
 チームはずーと弱かったようだ。というか負けるのが当たり前のような弱小球団の「体質」があったのだろう。それが3年連続最下位の中で、そこから脱皮するかのように若手に切り替わっていくのが見えた。
 古葉監督時代に黄金時代を築き、優勝争いに絡むチームになった。山本浩二や衣笠から、江藤、前田、野村さらには広島から出た金本、新井という中心的な野手、投手も外木場、安仁屋、北別府、佐々岡という3文字大エースが続いた。
 中心選手だけではない、魅力的な選手が多くいた。リリーフエースといえばすぐに江夏、そして津田の名前が出るが、75年に活躍した宮本の印象が強い。ワンポイントリリーフの清川もいる。
 野手でも高橋、正田、山崎、緒方そして背番号ゼロ長嶋の2試合連続サヨナラホームランなど、語ると切がない。
精神論ではないけれども
 カープは二一世紀には入って優勝どころからAクラスもない。選手層が薄い、という評価もあるが、それだけではないと、この日の試合を見て思った。
 逆転された8回は、4−1と3点差があったが、逃げ切りに出した投手が打たれエラー、凡プレーが連続した。
 まず、この回リリーフに出た今井がワンアウトの後ヒットを打たれ交代。代わった河内が桧山にストレートの四球。そしてミコライオを出したが、一塁手と遊撃手のエラーが出た。さらにマートンと今成にヒットを打たれた。
 四球もエラーもあるのが野球だと思う。しかしそれをどう防ぐのか、あるいは連続しないように工夫するのが強いチームである。
 野村克也が野球は「メンタルなスポーツ」というが、私もそう思う。プレーが一つ一つ区切られ、その一つ一つに一瞬の集中力が求められる。だから流れをつないだり、断ち切ったりする「思考」をプレーの中に持ち込むことができる。
 だから「ベンチがアホやから野球が出来ない」こともある。
 この回のカープの守りを見ていて、ベンチの采配も問題があると思ったが、それ以上にプレーしている選手の怠慢を感じた。主に捕手を含めた内野手の中に、試合を「支配」しようとする選手がいない、ということだ。
 この試合は8回で3点リードしているし、阪神もそれほど爆発力のある選手をそろえているわけでもない。その情勢を見極めて、悪い流れを断ち切るという、という「思考」、そのための「仕掛け」をする選手が見受けられない。
 ちょっと試合の流れを止めることができたら、違う結果があったかもしれない。集まって話をするのが良いと思うが、そうしなくともピッチャーに声を掛ける、エラーした選手に接触する、けん制を多く投げさせる、怪我した振りをしてベンチに帰る、とか何でも良い。自発的に勇気をもって、そんなことをする選手が必要だ。
 それは野球のプレーではないが、勝敗を決する重要なプレーだ。
精神的な核になる選手
 そういう「思考」する選手が必要であり、意識的に育てる必要がある。抜群の力量を持つ必要はないが、安定的な守備力と地道な努力が必要だと思う。そうすれば直接間接的に選手間の信頼を得られると思う。
 派手は活躍はない、ずば抜けた能力もない、でも全体を見ている選手。東出などがその役回りかもしれないが、故障でいない。レギュラーでなくてもいい、控えでもいいのだが、長くベンチ入りしてるそういう選手を早く育ててほしい。
 あんな無様な試合は2度と見たくない。