2015春闘

3月に入って春闘の山場に入ってきたが、社会的には労働組合の行動が目立たない。
「アホノミクス」の体裁をとって、安倍政権は財界に賃上げを要請した。同時に「残業代ゼロ」法案と言われる、労働時間の規制を外すこともしている。年功賃金から「能力主義」「成績主義」と言われる賃金体系にしたらどうか、とも言っているらしい。
昨年に引き続き官製春闘にして、賃上げを促す振りをしながら、財界の許容内でいいと思っているのでしょう。財界も「お付き合いする」程度の考え方のようだ。
消費税増税で大きく落ち込んだ景気を回復させるために、労働者の賃金、国民の生活水準を上げなければならない、とは思っていないでしょう。
連合は「2%以上の賃上げ」「非正規にも」「中小企業、下請けも」と言っているので、それは良いのです。しかし内部留保を焦点に上げないのが物足りない。
政府は1000兆円の超える借金を抱え、労働者の実質賃金は下がり続ける中で、大企業の内部留保だけは増え続けていると、もっとアピールしないと思います。
ピケティの評価
トーマ・ピケティ氏が来日して、景気回復には労働者の賃上げが必要だと言った。「米国ほど大きくないが、最も高い所得層の所得は急速に増え、格差が拡大した」と指摘している。
讀賣]はこれが気に入らないようだ。日本では格差は大きくない、と主張し伊藤元重東大教授と大竹文雄阪大教授を紙上に乗せて、高額所得者への累進課税反対の言説を言わせている。
大竹教授にいたっては「歴史的に資本の収益率が成長率を上回っているからと言って、今後も格差が拡大していくと言う考え方は若干、無理がある」とまで言っている。
これはピケティの仕事の全否定みたいなものだ。一流の御用学者ともなれば、ここまで言うのか、と感心した。
ただ私は「21世紀の資本」を読む気はない。「世界」3月号の伊藤光晴さんの論文を読んでわかった気になった。