私の『戦後七〇年談話』

岩波書店の標記の本を読みました。1940年以前に生まれた方41名がそれぞれのスタイルで「70年談話」を書いています。 私はいたく気に入りました。 残念ながら意外な人はいませんが、総理大臣経験者が海部俊樹と村山富市の二人というのは、意外といえば意外で…

買った本、借りた本、読んだ本

本については「『永遠の0』を検証する」を書いたときに気づいたのですが、ここにほとんど書いていません。ほとんど買っていないし、たいして読んでもいないので書かなかったのですが、自治体学校を契機に5冊も買ってしまったので、今年の読書傾向を紹介する…

「『永遠の0』を検証する ただ感涙するだけでいいのか」

標記の本が出版されました。著者は秦重雄、家長知史、岩井忠熊(インタビュー)です。 秦さんと家長さんは高校の先生で、岩井さんは高名な歴史学者です。家長さんは「映画で学ぶ世界史」などの本を出されています。神戸映サの学習会にも来ていただいたことがあ…

連城三紀彦の『夏の最後の薔薇』と『風の墓碑銘』『傍聞き(かたえぎき)』『駅路/最後の自画像』

連城さんが10月19日死亡されていました。とても残念です。私は彼の小説のファンです。彼の作風は、ミステリーに分類されるのだろうと思いますが、とても美しい流れるような文章で、男女の心の機微を描く恋愛ミステリーとでも呼びたい小説です。 10月31日[神…

「本は楽しい」「刀 十時半睡事件帖」

「本は楽しい」は赤川次郎のエッセイです。本当に読みやすい文体で、書いている内容もきわめて気さくで面白いものです。子どもの頃から本好きで、友達の励ましを受けて小説も書いていたという、性格もいいですね。 小説も読んでみたくなり、「偽りの花園」を読…

図書館で借りる

借りる時はいつも10冊です。主な理由は、返す時に何冊借りたか考える必要がないからですが、10冊となると知らない著者の本、その辺にある本、人気コーナーにある本を借りることになって、思わぬ拾い物をするからです。 今日借りた本を並べてみましょう「滅び…

『月島慕情』『おどろきの中国』『「アベノミクス」の陥穽』『人類哲学序説』『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたか』

本は毎週1冊程度読んでいるつもりでいましたが、いざ紹介する本を書こうと思うと、それほど読んでいないのです。買ってツンドクが多い、図書館から借りて途中まで読んで、というのも多い、月刊誌「経済」と「世界」を読むだけで手が一杯という状況です。 デ…

『偽証法廷』『ウツボカズラの夢』『社会を変えるには』『司馬遼太郎覚書』

随分本のことを書かないでいた。紹介したい本がないわけではなく、単にサボっていただけです。新たな本を読んで紹介しようと思っても、先に読んで紹介し忘れている、と思う本があったのでは、次にいけないので、簡単になると思いますが、書いておきます。 ま…

『歴史の長い影』『烈日』『僕らのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?』『プロメテウスの罠』『時の行路』『美女』

実は、パソコンの周りには新聞の切抜きと本で埋まっています。映画は手帳の中ですからスペースをとりません。新聞は思い切れば棄てられます。図書館の本も返すから良いのですが、買った本は困り者です。 しかしここに書かれた本はまだ幸せだと思ってください…

『凍える牙』『回転木馬』『乳と卵』『めぐりあいし人びと』『3・11後を生きるきみたちへ』『津波と原発』

今月は図書館で借りた本のほとんどを読んだ。またサンチカで古本市をしていたので思わず『楓窓私記−花房健次郎評論集』を買ってしまった。 今日が本を返す日なので、取り急ぎ一言言わないとと思うものを紹介します。順番は必要なものからです。 乃南アサ『凍…

「しゃぼん玉」「きのうの世界」「流星の絆」「野村学校の男たち」

今月は図書館で借りた本をよく読みました。収穫は乃南アサの「しゃぼん玉」でした。彼女は直木賞も受賞しています。私も女刑事・音道貴子や新米刑事・高木聖大シリーズの何冊かも読んでいます。確かにちょっといいな、と思ったのですが、今回「しゃぼん玉」を読…

『東京島』『売国奴に告ぐ!』『これは誰の危機か、未来は誰のものか』『ヘヴン』『大転換』

今月読んだ物で面白いもの、いや面白くなくてもちょっと引っかかったものを紹介します。 『東京島』(桐野夏生)は変な小説です。無人島に流れ着いた2〜30人の人々の奇妙な話です。昔読んだ『ロビンソン・クルーソ』や『十五少年漂流記』のような痛快で健全…

「3.11複合被災」「3.11を心に刻んで」「文藝春秋 100人の作家の言葉」「世界 悲しもう・・・」「朝日ジャーナル わたしたちと原発」

取り急ぎ、東日本大震災を振り返る本を読んでみた。もちろん、ここに並べた以上に多数の本、雑誌が出ているが、時間の制約もあり、私の好みの本を選んだ。短い感想を書きたい。 まず「3.11複合被災」(外岡秀俊、岩波新書)はすごい。著者が、10年後の…

「千日紅の恋人」帚木蓬生

「ははきぎほうせい」と読みます。知っている人は大勢いると思いますが、知らない人は知らない、というか、この人の小説はとっつきが悪いと思います。大長編小説だがらです。 かく言う私が、友人に薦められてもなかなか読めませんでした。最初に読んだのが「…

警官小説3冊

年末から警官を主人公にした面白い小説を読みましたので紹介します。いずれも図書館から借りてきました。 「警官の紋章」佐々木譲 お気に入りの佐々木譲です。北海道警察裏金事件を舞台にした一連のシリーズ(「笑う警官」「警察庁から来た男」「警官の休日…

「柔かな頬」桐野夏生、「巡査の休日」佐々木譲

映画関係の本で一杯 今日23日、映画サークルの大先輩Mさんのお宅に伺って、本を預かってきました。映画関係の本、3〜400冊はあるでしょう。これだけで一つの文庫が出来ます。すごい数ですし、ざっと見ただけでもいい本だとわかります。一流の映画評論家と言…

「夜の橋」藤沢周平 文春文庫

久々に藤沢周平を読んだ。映画サークルのボランティアスタッフの方が、毎月、時代小説を7,8冊持ってきてくれる。そのうちの何冊かを読むのだが、いつもは知らない作家のものにしている。せっかくだから読みなれたものではないものと思って読む。 しかし今…

「ふたたびの虹」柴田よしき

よその町に行ってぶらぶらと商店街を歩いていて、古本屋を見ると必ずといってよいほど、店を覗きます。日本全国、出回っている本にそう大きな違いはないので、その地方の「特産」などというものはないのですが、古本屋が好きなのです。(そんなことはなかった。…

「暴雪圏」佐々木譲 新潮社

彼の本ばかり読んでいるのではないけれど、ここに紹介したいと思う、面白い本は、やはり佐々木譲になってしまう。 舞台は北海道。4月のある日、「彼岸荒れ」という季節はずれの大嵐(大雪と大風)に襲われた町の一昼夜。嵐は瞬く間に、その町を雪でとざし、一…

『冒険者カストロ』佐々木譲 集英社

佐々木譲は本当に幅広く書く作家です。これはミステリーとか冒険小説ではない、キューバ革命を戦い、その後キューバの指導者としてアメリカと戦い続けているフィデル・カストロの伝記です。 しかもカストロ自身は伝記を書くことを許していませんから、いわば…

「命の終わりを決めるとき」朔立木 光文社

この本には、表題に沿った2つの中篇が収められている。作者は殺人事件などを身近に知りうる立場なのだが、それぞれの作中人物の心理を書き分ける筆力も相当のものだと思う。 両方とも実際に会った事件から材を得ている。そして検察や警察を鋭く告発している…

「廃墟に乞う」佐々木譲 文藝春秋、「日本辺境論」内田樹 新潮新書、「映画の構造分析」内田樹 文春文庫

「廃墟に乞う」 久々に佐々木譲を読んだ。ほとんどの作品を読み一休みをしていたが、この「廃墟に乞う」は直木賞受賞作品だったので読んでみた。短編連作で読みやすいということもあったが、主人公が休職中の刑事という設定で、色々な事件を彼なりに「解決」し…

「ジブリの森へ 高畑勲・、宮崎駿を読む」米村みゆき編 森話社、「超マクロ展望 世界経済の真実」水野和夫・萱野稔人 集英社新書、「死亡推定時刻」朔立木 光文社

ちょっと前のものも含めて面白かった本を紹介しておきます。分野はばらばらですね。でもそれぞれに面白い。 「ジブリの森へ 高畑勲・、宮崎駿を読む」 これはジブリ作品を、大学や高専で文学を教えている教員が「自分たちが教壇に立ち、講義したい内容を」盛…

「記憶せよ、抗議せよ、そして生き延びよ」小森陽一対談集 シネ・フロント社

対談相手がすごい。井上ひさし、黒木和雄、渡辺えり、ジャン・ユンカーマン、井筒和幸、高畑勲、班忠義、山田洋次といったメンバーだ。そういう人と話をして色々と聞きだせるというのが小森陽一さんだ。シネフロント社のいい企画だ。 本のタイトルは、井上ひ…

「インターセックス」帚木蓬生 集英社

分厚さは3cm、450頁を超える大著ですが、すばらしい筆力によってぐいぐい引っ張られるように短期間で読みました。 ミステリーの形で、謎解きの面もあり、そういうことでも面白い小説ですが、それ以上にインターセックスという、「通常」の男と女の枠にはまら…

「TPP反対の大義」農文協 編

TPP(汎太平洋経済連携協定)は日本を破壊します。こんなものを軽々しく実施するなどという菅直人は骨の髄から腐っています。まったく何も考えず、アメリカと財界に魂を売っています。財界人も多少は日本の国土の保全と地域経済、国民生活を考える人は、躊…

「創られた『日本の心』神話」輪島裕介 光文社新書

市民映画劇場四月例会『こまどり姉妹がやって来たヤァヤァヤァ』の参考資料で、標記の本を読みました。とても面白い本で、日本歌謡界、演歌について書かれています。副題が「『演歌』をめぐる戦後大衆音楽史」となっています。 作者は1974年生まれで、私より…

最近読んだ本をまとめて

今日は久々に夕方まで時間が有るので、最近読んだ本をまとめて紹介します。これは、というのは別に1冊1冊項目を立てます。 「聞書アラカン一代 鞍馬天狗のおじさんは」竹中労 嵐寛壽郎が人生を振り返り、それを竹中労が書き留めるだけではなく、戦前戦中戦後…

図書館で借りた本

小説の類は、基本的に図書館で借りて読むことにしています。急いで読まないといけないものしか買わないようにしているから、そうなります。毎月10冊ぐらい借りて読破できるのは多くて半分までで、あとはそのまま返すか、気になるのはもう一度借ります。 今月…

「超マクロ展望 世界経済の真実」水野和夫・萱野稔人

タイトルほどのことはないのですが、近代経済学の立場から言えば、スケール大きく世界経済を語っています。とりあえず、章立ての見出しを載せておきます。それからまたおいおい書き込んでいきます。そうしないと、ここで書きたいと思う本がどんどんたまって…